石井だより
2024年11月01日
連載「家庭医療のお話⑥ 家族志向のケア ~「家族」とともに協力して治療する」(石井だより11月掲載)
前回、患者さんの背景に注目して、患者さんを全人的に理解する事を書きました。
その中でも特に身近で重要なのが「家族」という背景です。同居家族であれ、遠くに別に住む家族であれ、患者さんの健康に影響します。また治療やケアを行う上でも家族は協力者として重要な役割を果たします。家庭医療では家族への向き合い方はとても重要と考えられており、「家族志向のケア」という考え方にまとめられています。
今回は家族志向のケアの4つの基本的な考え方を紹介して、次回以降もう少し詳しく説明したいと思います。
- 病気を心理社会的広がりで捉える
家族志向のケアは、月の記事「生物心理社会モデル」に基づいた考え方です。病気を単に身体的なものと捉えず、心理的側面、社会的側面から考える事が大切です。
- 家族という枠の中での患者に焦点を当てる
前回書いたように、患者さんの背景にある家族について知り、全人的に理解する事で、いろいろな事が見えて来たり、解決につながったりします。
- 患者・家族と医療者がケアのパートナーになる
- 医療者は治療システムの一部として機能する
「医者が患者を治してあげる」のではなく、医者、患者、家族が三位一体となって協力し合いながら一緒に治療をしていくという考え方です。