石井だより

2024年05月01日

連載「家庭医療のお話①」(石井だより5月掲載)

 毎月発行している院内機関誌で「家庭医療について」連載しています。その記事をこちらにも公開していきます。

 

 私の専門は「家庭医療」です。しかし、この分野は日本ではまだ歴史が浅く、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。そこで、家庭医療について少しでも知ってもらえるよう、毎月少しずつ書いていきたいと思います。今回は、家庭医とは幕の内弁当である。というお話。

 家庭医は、「(臓器/疾患の)専門分野」という分け方にとらわれず、色んな種類の病気を、赤ちゃんから老人まで、男性も女性も、患者やその家族、さらに地域の健康まで考えて診療する医者です。僕の師匠であり、岡山県の家庭医である松下明先生は、家庭医を「幕の内弁当」に例えています。『たくさんの小さくてもおいしいおかずが色々入っている。ふっくら炊き上げた味の良い炊き込みご飯。』

 たくさんのおいしいおかずは、いろいろな分野についての基礎をしっかり押さえた知識・技術の事。癖になる炊き込みご飯は、医師としての誠実な態度・姿勢です。

 決して派手ではないけれど、どんな人の口にあう、「どれも美味しい!」と唸らせるような「幕の内弁当」を、これから作り続けていきたいと思っています。